~これはフィクションです~
・・・あれから数カ月がたった。
「先生、この書類はどうしますか?」
事務員の問いに対して、考える・・・。
「もう少しそこに置いておいてくれる。」
通常、相続手続きが済んでから、数か月も書庫にしまわない書類はない。
何となく、気になることがあるのだ。
会田さんの件は、結局、不在者財産管理人選任の手続きをし、相続、売却と順調に事は進み、3か月程ですべてが終わった・・・・いや、すべては終わっていなかった。
不在者財産管理人には長男の妻が裁判所で選任されていた。こちらはどうなったか・・・?
どうもならない。
相続財産である不動産を売却すれば、売却代金が入る。不在者財産管理人は、この売却代金のうち、不在者が取得すべき分を管理していかなくてはならない。
いつまで管理するのか?
本人が管理できるようになるまで。つまり、本人が見つかるまで・・・もしくは、死亡が判明するまで。
・・・・さらに数日が経過した・・・・
「さて、昼休みにしようか?俺、先に行ってもいい?」
「どうぞ・・・。」
「・・・こんにちは・・・」
「こんにちは。・・・ああ!どうも。暑くなりましたね。財産管理はどうですか?」
会田さんが苦笑いをしながら事務所に入って来た。
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