相続物語~会田家④~

 ~これはフィクションです~

 

 「先生、先日お伺いした住所に行ってみたのですが、違う人が済んでいます。」

 

 「あららっ。」

 

 「表札が違っていて、でも、思い切って行ってみたら、…『会田正志?そんな人は知りません。私は5年程前にここに引っ越してきた。』との事でした。どうしましょう?」

 

 「そうですか・・・困りましたね。」

 

 「正志を除いて手続きをする訳にはいきませんか?」

 

 「法定相続分での分割であれば、それも可能です。遺産分割協議をするのであれば、相続人全員が参加することが条件になります。」

 

 「じゃあ法定相続分でいいです。もともと兄弟で平等に分ける事を希望してますから・・・。」

 

 「それは可能です。しかし、問題はその先です。相続はできます。しかし、相続したご自宅を売却することができません。正志さんが取得した持分を除いて売却しても、買い手はいないでしょう。」

 

 「それは困る。売却しなければ住む人のいない家をいつまでも管理しなくちゃあならない。誰が管理していくんだ・・・。何とかなりませんか?」

 

 「う~ん・・・不在者財産管理人制度を使うか・・・。」

 

 「なんですか?それは?」

 

 「まあ読んで字のごとくですが、正志さんのように、行方知れずの人、すなわち不在者の財産を管理する人を、家庭裁判所にて選任する制度です。これにより、この方が正志さんに代わって、売買契約を締結できます。売却代金については、その後も管理人が管理していくことになります。しかし、管理人による管理は、本人が見つかるまで、もしくは管理する必要がなくなるまで続きます。家庭裁判所の監督下にあるため、定期的に報告したりする必要があります。」

 

 「面倒な感じがしますが、他に手がないのであれば・・・。」

 

 「失踪宣告を受けるという方法もありますが、失踪宣告がされると、正志さんは死亡したものとみなされます。したがって、不動産はお兄さんと二人で共有する形となり、正志さん抜きでも売却ができます。売却代金は二人で山分けとなります。この場合は、財産管理で長い間裁判所と付きあう必要もなく、後々の手間がありません。ただし、生きて見つかった場合に厄介になることもあります。また、死亡とみなされることから、戸籍や住民票上は死亡と処理されます。戸籍は除籍となり、住民票も除票になります。」

 

 「戸籍がなくなるのですか?」

 

 「まあ、そういうことになります。」

 

 「それは・・・ちょっと・・・今はやめておきます。」

 

 「そうおっしゃるとおもいました。では不在者財産管理人を選任する方向で進めましょう。」

 

 なかなか兄弟愛のある方であったので、失踪宣告はしないとおもっていた。しかし、一応そういった方法もあるということを伝える必要もあった。決めるのは私ではないからだ。

 見つかるといいな・・・弟さん・・・。

 

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Q&A

Q 公正証書遺言を作成するにはどうしたら良いでしょうか?

 

A 公正証書遺言を作成するには、必要な書類を集めて、公証人役場に行く必要があります。事前に打ち合わせをした方がよいでしょう。

 我々の様な専門家を利用する方法もあります。この場合、専門家への報酬が必要ですが、遺言書作成やその内容についてのノウハウがありますから、状況に応じた遺言書の作成を支援してくれます。

 なぜ遺言書を書くのか?相続人の状況、親族間の付き合いの程度などをよく検討した上で、最適なものを作成されることをお勧めいたします。自筆証書遺言に多い事ですが、不用意な遺言でかえって争いの種をまいてしまったという事例もあります。

 しかしながら、専門家を介する場合は報酬が必要になりますから、費用を確認してから依頼するようにしてください。

 

 

Q 相続手続きについて不安があります。次男が仕事の都合で海外に住んでおります。この場合、手続きが面倒だと聞きましたが、どうでしょうか?

 

A 国籍が日本にあるか?ないか?により若干手続きが異なります。日本国籍である場合は、遺産分割協議書等に大使館または領事館発行のサイン証明を添付することで、印鑑証明書の添付に代える事が出来ます。外国籍の場合は、現地の公証人よりサイン証明を受ける必要があります。

 いずれの手続きも、やや面倒で、時間がかかりますので、手間等を考えると生前に遺言書を作っておくと便利です。費用については、「何を誰に頼むか」により変わりますので、一概にはいえません。費用はかかりますが、公正証書遺言があれば、後にかかる費用を抑えることができ、面倒なこともないので、おすすめしております。

Q  相続手続きについての質問です。

 父が死亡し、母と子供二人が相続人となりました。母は高齢で、認知症になっています。相続財産は不動産と預金です。不動産は私が相続し、預金を相続人全員で分けたいのですが、どうしたら良いでしょうか?

 

A  遺言書はないものとして回答します。

 ご質問の様な遺産の分け方を実現するには、法定相続ではなく、遺産分割協議が必要になります。遺産分割協議書には相続人全員の署名捺印が必要であり、そのためには相続人全員が、遺産分割協議の内容を理解していなくてはなりません。

 ところが、お母さんが認知症との事ですから、遺産分割協議の内容を理解することはできません。この場合は、裁判所において後見人を選任し、認知症の母に代って、遺産分割協議書に、署名捺印をいたします。したがって後見人の選任が必要になります。また、後見人を相続人のうちのどなたかがする場合は、遺産分割協議が利益相反行為となりますので、遺産分割協議についての特別代理人も選任する必要があります。